Parafracオシレーター:パラボリックとフラクタルインジケーターの組み合わせ
はじめに
テクニカル指標は、市場参加者にとって欠かせないツールであり、複雑な数理計算を視覚的に分かりやすいグラフとして表現します。この視覚化により、市場分析や戦略計画、エントリーポイントの検討が効率的におこなえるようになります。特に、これらの自動化されたツールを活用することで、新しい市場データが出現するたびに手動で再計算する負担から解放され、分析を常に最新かつ迅速に維持することができます。
テクニカル指標には、それぞれ異なる分析目的があります。ある指標は、現在のトレンドの把握やレンジ相場の特定、市場のボラティリティの測定に優れています。別の指標は、取引量の変化を測定することに特化しています。これらを組み合わせることで、トレーダーは直感ではなく、構造化され定量的な知見に基づいて意思決定をおこなえるようになります。
新しいオシレーターへのアプローチ:パラボリックSARとフラクタルの融合
本記事では、パラボリックSARとフラクタル指標の戦略的な統合を提案します。狙いは、両者の特徴を活かすことです。具体的には、パラボリックSARによるトレンド方向と潜在的な反転ポイントの把握、フラクタルによる重要な価格極値の特定を組み合わせることで、新しいオシレーター型インジケーターを設計します。この新しいツールは、既存の分析手法の強みを相乗的に活用できる基盤として機能し、より洗練された取引戦略の開発に役立つことを目指します。
パラボリックSARとフラクタルインジケーターの探究
本セクションでは、新たに開発されたオシレーターの基盤を形成する2つの主要インジケーター、パラボリックSARとフラクタルについて掘り下げます。これらのツールに関する数理的な計算式には触れませんが、取引プラットフォーム上での効果的なアクセス方法と活用方法に焦点を当てます。
パラボリックSAR
パラボリックSAR (Stop and Reverse)は、トレンドフォロー型のインジケーターであり、トレンドの方向と潜在的な反転ポイントを特定することを目的としています。その名前が示す通り、このインジケーターは、市場のモメンタムの変化に基づいてトレーダーが「ポジションを止めて反転」するタイミングを示すもので、1978年にJ. Welles Wilder Jr.によって開発されました。
チャート上では、パラボリックSARは一連の点として表示され、ローソク足の上または下に配置されます。点がローソク足の高値の上に形成される場合、潜在的な売りシグナルを示唆します。逆に、点がローソク足の安値の下に現れる場合は、潜在的な買いの機会を示します。この視覚的なサインにより、トレンド相場でのエントリーやエグジットのタイミングを判断する際に非常に有用です。

図1
MetaTrader 4/5でのパラボリックSARへのアクセス方法
- 挿入メニューまたは指標アイコンをクリックします。
- [トレンド系]カテゴリに移動します。
- リストから[Parabolic SAR]を選択します。

図2
選択すると、2つの主な入力パラメータを設定するように求められます。
- ステップ(pstep):インジケーターの感度を決定します。ステップ値を小さくすると、SARは価格変動に対してより敏感に反応します。
- 最大値(pMax):ステップの最大値を制御し、インジケーターが価格に向かってどれだけ速く加速するかに影響します。
これらの設定は、SARが価格にどれほど密接に追随するかに影響し、トレーダーは自分の取引スタイルや対象資産のボラティリティに応じて微調整することができます。
図3
フラクタルインジケーター
フラクタルインジケーターは、短期のサポートおよびレジスタンスレベルを強調することで、市場における潜在的な反転ポイントを特定するために使用されるテクニカル分析ツールです。これは、カオス理論を用いた市場行動の分析で知られる著名なトレーダー兼著者のビル・ウィリアムズによって開発されました。
フラクタルは、チャート上で上下を指す矢印の連なりとして表示されます。
- 上向きのフラクタルは、ローソク足のグループの上に現れ、下方向への潜在的な反転を示す
- 下向きのフラクタルは、ローソク足のグループの下に現れ、上方向への潜在的な反転を示す
有効なフラクタルパターンは、連続する5本のバー(またはローソク足)で構成されます。強気のフラクタルの場合、中央のバーが最も低い安値を持ち、その両隣の2本はより高い安値である必要があります。弱気のフラクタルの場合、中央のバーが最も高い高値を持ち、その両隣の2本はより低い高値である必要があります。

図4
MetaTrader 4/5でのフラクタルインジケーターへのアクセス方法
- 挿入メニューを開くか、指標アイコンをクリックします。
- [ビル・ウィリアムズ系]カテゴリに移動します。
- リストから[Fractals]を選択します。

図5
他のインジケーターと異なり、フラクタルインジケーターには調整可能な入力パラメーターはありません。チャートに追加すると、自動的に該当するフラクタルパターンを検出し、価格バーの上または下に矢印でマークします(図4参照)。
本記事では、フラクタルインジケーターを単なる反転シグナルとして使用するのではなく、最近の重要な高値と安値の間の価格変動幅を測定する目的で使用します。最新の高値フラクタルと最新の安値フラクタルを特定することで、トレーダーは現在の市場動向を反映する動的なレンジを確立できます。
このレンジは、パラボリックSARと組み合わせることで特に有効であり、新しいオシレーター形式のインジケーターを構築することが可能になります。
Parafracオシレーターの導入
Parafracオシレーターは、パラボリックSARとフラクタルインジケーターという2つの強力なツールを組み合わせて開発されたカスタムテクニカルインジケーターです。名前の通り、Parafracは、パラボリックSARと価格とのギャップを、最近のフラクタル高値と安値で定義される値幅で統合します。このハイブリッドなアプローチにより、トレンドの強さや市場のモメンタムを動的に評価することが可能になります。
多くのインジケーターでは、その数学的な基礎がユーザーインターフェースの裏側に隠されていますが、Parafracオシレーターの概念を理解することは、そのシグナルを解釈し、挙動をカスタマイズする上で非常に重要です。
Parafracオシレーターの数学的概念
Parafracオシレーターの核心は、価格とパラボリックSARとのギャップを、最近のフラクタルポイントで定義される値幅で正規化するという、シンプルながら強力な考え方です。
このオシレーターは以下の式で定義されます。
1. フラクタル値幅(FracDiff)
![]()
この値は、最新の高値フラクタルと安値フラクタルの絶対差を表し、現在の市場活動の動的な値幅を示します。
視覚的には以下の通りです。
図6
2. 上昇トレンド条件
市場が潜在的な上昇トレンドにある場合、オシレーターはローソク足の下側(始値または終値の低い方)とPSAR値とのギャップを、フラクタル値幅で正規化して測定します。
3. 下降トレンド条件

下降トレンドの場合、オシレーターはローソク足の上側(始値または終値の高い方)とPSAR値とのギャップを、同様にフラクタル値幅でスケーリングして評価します。
視覚的には以下の通りです。

図7
この方法でオシレーターを計算することで、パラボリックSARによるトレンド方向とフラクタルによる直近価格の極値に対する価格変動のモメンタムを捉えることができます。その結果得られた値はオシレーターとしてプロットでき、トレンドの強さ、ボラティリティ、潜在的な反転の洞察を視覚的に把握することが可能になります。
観察: Parafracオシレーターの解釈と挙動
Parafracオシレーターの主要な強みの1つは、その正規化にあります。オシレーターの値は、価格とパラボリックSARのギャップをフラクタルで定義された値幅(FracDiff)で割ることによって導出されるため、結果として得られる値は単位を持たず、スケールに依存しません。これは、オシレーターが異なる市場商品(金、GBP/JPY、その他の資産など)に適用されても、一貫性のある比較可能な値を保持できることを意味します。
たとえば、Parafracオシレーターで金(Gold)の値が+2.5または-2.5を示した場合、それはGBP/JPYで同様の値を示した場合と同じ意味を持ち、トレーダーは市場や時間軸を跨いで統一されたフレームワークで戦略を開発・適用することが可能です。
ボラティリティとモメンタムの洞察
オシレーターの2つの構成要素、FracDiffとパラボリックSARギャップは、オシレーターの感度と挙動に寄与します。
- FracDiffはボラティリティの指標を提供します。大きなFracDiffは市場が変動しやすいことを示し、小さなFracDiffは比較的落ち着いた状態を示します。
- パラボリックSARギャップはトレンドモメンタムを反映します。ギャップが広い場合は強い方向性の動きがあり、狭い場合はモメンタムが弱まっているか、レンジ内での揉み合いを示します。
これらの関係により、オシレーターの動きをより深く解釈することができます。
- FracDiffがPSARギャップよりもはるかに大きい場合(FracDiff >>> PSARギャップ)、正規化された値は小さくなり、オシレーターのヒストグラムは縮小します。これは高ボラティリティだがモメンタムが弱い状態を示します。
- FracDiffがPSARギャップよりもはるかに小さい場合(FracDiff <<< PSARギャップ)、正規化された値は大きくなり、オシレーターのヒストグラムは急上昇します。これは比較的狭い値幅内で強い方向性の動きがある状態を示します。
通常の動作範囲とデフォルト設定
経験的な観察によれば、Parafracオシレーターは通常の市場環境下では、概ね±2.5の範囲内で変動します。しかし、高モメンタム期や急激な反転時には、オシレーターは極端なスパイクを示すことがあり、ヒストグラムが視覚的に支配され、以降のシグナルが視認しづらくなる場合があります。
このため、オシレーターにはデフォルトの最大と最小値を±10に設定しており、これにより以下が可能になります。
- ヒストグラムの視覚的バランスを保つ
- 極端な外れ値によるチャートの歪みを防ぐ
- トレーダーが通常の挙動からの重要な逸脱を素早く識別できるようにする
これらの閾値は、特定の商品、取引スタイル、個人の好みに応じてカスタマイズすることもできます。
Parafracオシレーターは、その核となる入力値をパラボリックSARから受け継いでいます。これは、PSAR値が市場モメンタムの強さと方向性を決定するためです。 これらのパラメーターは、PSARが価格にどれだけ密着するかに影響し、結果として任意の時点でのPSARギャップの大きさにも影響します。Parafracオシレーターはこのギャップを核となる計算式の一部として使用するため、これらの設定を微調整することで、オシレーターの反応性やヒストグラムバーの大きさに目に見える変化をもたらすことができます。

図8:Parafracオシレーター
コード構造
添付されているのはMetaTrader 4とMetaTrader 5のソースコードです。どちらも以下のような初期化構造を持っています。
#property indicator_type1 DRAW_HISTOGRAM #property indicator_color1 Lime // UpLevel #property indicator_width1 2 #property indicator_label1 "UpLevel" #property indicator_type2 DRAW_HISTOGRAM #property indicator_color2 Red // DownLevel #property indicator_width2 2 #property indicator_label2 "DownLevel" #property indicator_level1 2.5 #property indicator_level2 -2.5 #property indicator_level3 5.0 #property indicator_level4 -5.0 #property indicator_level5 7.5 #property indicator_level6 -7.5 #property indicator_maximum 10 #property indicator_minimum -10
表示プロパティとインジケーターのレベル
このセクションでは、Parafracオシレーターの視覚的・表示プロパティを設定し、読みやすさを向上させ、実際の取引中の迅速な意思決定をサポートします。
デフォルトでは、オシレーターはトレンド方向を区別するために色分けされたバーを使用しています。
- ライム(緑)のバーは上昇トレンドを示し、価格が強気の動きをしていることを表します。
- 赤いバーは下降トレンドを示し、弱気のモメンタムを示します。
これらの色の選択により、トレーダーは一目で市場のセンチメントを把握でき、複数のチャートを監視する際の認知負荷を軽減できます。
事前定義されたオシレーターレベル
さらなる明瞭性を提供し、シグナル解釈を補助するために、オシレーターには水平ガイドレベル±2.5、±5、±7.5が含まれています。
これらの中間レベルは参照ゾーンとして機能し、トレーダーがトレンドやモメンタムの強さを分類するのに役立ちます。以下はその例です。
- ±2.5前後の値は、軽度から中程度のモメンタムを示唆する可能性がある
- ±5を超える値は、強い方向性の動きを示す可能性がある
- ±7.5に達する、または超える場合は、過度に伸びた動きや強いトレンドのピークを示すことが多い
ヒストグラムのスケールを制御し、視覚的なバランスを保つために、インジケーターはデフォルトの最大値と最小値を+10(上限)と−10(下限)に設定しています。
これにより、急激な市場スパイクによる極端な値がヒストグラムを支配し、以降のシグナルを見えにくくすることを防ぎます。ただし、これらの閾値は完全にカスタマイズ可能であり、トレーダーは自身の取引スタイル、市場商品、または時間軸に応じて調整できます。
// Input parameters input double pstep = 0.02; input double pMax = 0.2;
入力パラメータ
Parafracオシレーターは、パラボリックSARから継承された設定可能な入力パラメーターを備えており、トレーダーはオシレーターの感度を市場状況や取引スタイルに合わせて調整できます。これらの入力は、インジケーターコードの冒頭で定義され、MetaTraderプラットフォーム上でユーザーが直接変更可能です。
1. ステップ(pstep = 0.02)
pstepパラメーターは、パラボリックSARの加速係数を決定します。ステップ値を小さくすると、PSARの動きが滑らかになり、短期的な変動に対する感度は低下します。デフォルト値の0.02は、ほとんどの市場でバランスの取れた反応を提供します。
2. 最大値(pMax = 0.2)
pMaxパラメーターは、加速係数が到達できる最大値を設定します。高い値を設定すると、パラボリックSARは価格に向かってより速く加速できるようになり、結果としてオシレーターは急激なトレンドに対してより敏感になります。デフォルトの0.2は、強いトレンドを捉えつつ過剰なノイズを抑えることを可能にします。
これらの2つのパラメータは、Parafracオシレーターの計算式におけるPSARギャップに直接影響し、次の項目に影響します。
- ヒストグラムバーの大きさ
- スパイクの頻度
- オシレーターの価格変動に対する全体的な感度
pstepとpMaxを微調整することで、トレーダーは暗号通貨やスキャルピングのような高速市場や、コモディティやスイング取引のような緩やかな市場に応じてオシレーターの挙動を最適化できます。
結論
Parafracオシレーターは、トレーダーにとって、さまざまな市場状況に対応した取引戦略を構築するための強力で適応性の高いツールを提供します。その強みは、トレンド方向(パラボリックSAR)と市場のボラティリティ(フラクタル値幅)を1つの正規化されたオシレーターに統合できる点にあり、幅広い金融商品や時間軸に対応可能です。
トレーダーはオシレーターを複数の方法で活用できます。
- 事前定義されたレベル(±2.5、±5、±7.5)を使用して、トレンドの強さを分類する
- ヒストグラムのパターン(スパイク、フェード、クラスタリングなど)を分析する
- オシレーターの挙動が価格変動と矛盾または一致するダイバージェンスや継続パターンを通して分析する
オシレーターの大きな利点の一つは、各ヒストグラムバーが個々のローソク足の挙動を反映している点です。これは、平滑化された平均値ではなく、ローソク足ごとの分析が可能であり、シグナルの反応速度が速く、より正確な分析がおこなえることを意味します。
ゼロラインのクロス
- ゼロラインを上抜ける場合:パラボリックSARが価格の下に反転したことを示し、潜在的な強気の反転または継続の可能性を示します。
- ゼロラインを下抜ける場合:PSARが価格の上に移動したことを示し、弱気の変化を反映します。これは従来のPSARと同様の機能です。
まとめると、Parafracオシレーターはボラティリティとトレンド分析のギャップを橋渡しするツールです。トレーダーにとって、機会の特定とリスク管理を支援する、明確で柔軟かつ直感的なツールを提供します。単独のインジケーターとして使用する場合でも、広範な取引戦略の一部として使用する場合でも、市場をより正確かつ自信を持って読み解けるようになります。
MetaQuotes Ltdにより英語から翻訳されました。
元の記事: https://www.mql5.com/en/articles/19100
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新しい記事パラフラック・オシレーター:パラボリックとフラクタル・インディケーターの組み合わせ:
著者:ダニエル・オポク
こんにちは、
このインジケーターは、単体のパラボリックSARだけを使う場合とまったく同じです。
例を示していただけますか?
クリス