11月24日の海外株式・債券・為替・商品市場

11月24日の海外株式・債券・為替・商品市場

25 11月 2015, 08:03
Yamaguchi Katashi
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欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。ドルが3日ぶり反落-米消費者信頼感指数が予想外に低下。

24日のニューヨーク外国為替市場ではドルが3営業日ぶりに下落。11月の米消費者信頼感指数が予想外に低下し、約1年ぶり低水準となったことに反応した。

ドルは主要通貨の大半に対して値下がり。金融当局に12月利上げの準備が整っているという新たな証拠を探そうと、投資家は感謝祭の祝日明けの来週以降に目を向けた。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は12月2日に講演を予定。同じ週には欧州中央銀行(ECB)の政策決定会合が開かれるほか、米雇用統計が発表される。円はこの日値上がり。トルコ軍がシリアとの国境付近でロシアの戦闘機を撃墜したことを受け、安全資産としての需要が高まった。

クレディ・スイス・グループの外為ストラテジスト、マット・ダー氏(ニューヨーク在勤)は「ややこう着状態にある。来週のECB会合と米雇用統計待ちだ。いずれも非常に大きな材料になると思われる」と分析。「投資家は来週やさらにその先を見据えている。現在は(市場を動かす)材料はあまりない」と続けた。

ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.3%下げて1230.44。同指数は月初来では1.7%上昇と、このままいけば月間では7月以来の大幅高となる。

ドルは対ユーロでは0.1%安の1ユーロ=1.0643ドル。対円では0.3%下げて1ドル=12253銭。

米民間調査機関コンファレンス・ボードの24日発表によれば、11月の消費者信頼感指数は90.4と、2014年9月以来の低水準。前月は99.1だった。ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値は99.5。これより先に米商務省が発表した7-9月(第3四半期)の実質国内総生産(GDP)改定値は前期比2.1%増と、速報値の1.5%増から上方修正された。

ブルームバーグがまとめた金利先物市場の動向によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の次の月に政策金利を引き上げ確率は74%として織られています。当時10月末にはそれが50%でした。確率の計算は、有効フェデラルファンド(FF)レートは、レート引き上げ後の平均0.375%であるという仮定に基づいています。

ラボバンク・インターナショナルのシニア為替ストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏(ロンドン在勤)は「ドル強気にも限界が見えてきたようだ」とし、「市場は利上げの道筋に注目している。金融当局が積極的には利上げしないかもしれないとの見方が、ドルに対するユーロ下落を限定的なものにしている」と分析した。

:小反発、エネルギー株がけん引-ロシア機撃墜で売り先行後

24日の米株式相場は小反発。ロシア軍機がトルコ軍に撃墜されたため売りが先行したものの、これをめぐる懸念が和らぐに伴い上げに転じた。エネルギー株は3週間ぶりに2日連続で上昇した。

素材株も上昇し、商品関連銘柄が株価回復を主導した。一方、米政府が海外渡航に注意を促したことに加え、原油相場が上昇したため、旅行関連銘柄や航空株が下げた。

S&P500 株価指数が前日比0.1%高の2089.14で終了。一時は0.8%下げる場面もあった。ダウ工業株30種平均は19.51ドル(0.1%)上げて17812.19ドルで終えた。ナスダック総合指数はほぼ変わらず。

ボストン・プライベート・ウェルスの最高投資責任者(CIO)、トム・アンダーソン氏は「このような不透明なことが起こると、米国が安全な逃避先であるとの認識があらためて強まる」と指摘。「米経済は非常に良好だ。その結果、われわれは株式にかなり前向きだ。しかし、こうした出来事をめぐるノイズやボラティリティは避けられない」と述べた。

トルコは同国領空を侵犯したとして、ロシアのジェット戦闘機をシリア北西の国境近くで撃墜したと発表した。ロシアのプーチン大統領は「犯罪は容認しない」と非難したものの、ロシア・トルコ両国関係に「極めて重大な結果」をもたらすと警告するにとどめ、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコへの軍事的な対応には言及しなかった。

状況悪化への懸念から世界の金融市場は揺れたものの、ロシアや欧州の政治アナリストの間ではロシアとNATO加盟国の間で争いが起こるリスクは低いとみられている。

地政学的な緊張の高まりでこの日発表された米経済指標の影は薄れた。7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産 (GDP)改定値は速報値から上方修正された。米金融当局が来月に利上げを実施する可能性が高まった。金利先物市場によると、来月の利上げ確率は74%。

S&P/ケース・シラー住宅価格指数は9月に予想以上に上昇。11月の米消費者信頼感指数は予想外に前月比で低下し、約1年ぶりの低水準となった。

S&P500種の10セクターのうち6セクターが上昇。エネルギーと素材の上げが目立った。一方、金融や公益事業、工業株は下げた。

原油高を背景にエネルギー株は2.2%上昇。マラソン・オイルやチェサピーク・エナジーが高い。エクソンモービルは2%高。

ニューモント・マイニングが2.5%上昇。安全性への逃避が活発になり、ニューヨーク金相場が3営業日ぶりに上昇したことが背景にある。BB&Tが買いを推奨したニューコアは3.7%高。銅相場の上昇を受けてフリーポート・マクモランは4日ぶりに上げた。

利益が予想を上回ったアナログ・デバイセズは6.4%上昇、半導体株の上げをけん引した。

ダラー・ツリーは利益が予想を上回り、株価は2013年以来の高値を付けた。キューリグ・グリーン・マウンテンとキャンベル・スープは大幅高となったものの、生活必需品全体ではほぼ変わらずとなった。

住宅価格の上昇を背景に住宅建設株指数は1.4%上昇し、2カ月ぶりの高水準。

旅行関連銘柄の下落を受けて、選択的消費株は下落。プライスライン・グループやエクスペディアが下げ、カーニバルなどクルーズ株も下落。

10年債利回り、ほぼ2週ぶり低水準-好調な入札が手掛かり

24日の米国債市場では10年債利回りが2週間ぶりの低水準付近。午後に入って実施された国債入札で需要が伸びた。

5年債入札(350億ドル)の需要は9月以降で最も強かった。最高落札利回りは6月以来の高水準だった。この日はプライマリーディーラー以外の直接入札者の落札比率が過去約1年で最も高かった。トルコ軍がロシアのジェット戦闘機をシリア北西の国境近くで撃墜したことを受け比較的安全とされる国債需要が高まり、この日は世界的にソブリン債が買われた。

ノバスコシア銀行の資本市場戦略ディレクター、ガイ・ヘーゼルマン氏は「米国債買いがやや持ち直している。米金融当局による利上げの中でも、この傾向が年末とそれ以降も続くだろう」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時ごろ、10年債利回り 2.24%。同年債価格(表面利率2.25%、償還期限202511月)は100 3/32。利回りはこの日、11月4日以来の低水準をつけた。  

5年債の入札結果によると最高落札利回りは1.67%。投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.52倍と、ここ2カ月で最も高かった。前日の2年債入札では最高落札利回りが2010年以来の最高だった。トレーダーは1216日に連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を引き上げるとの見方を強めている。

この日の入札では海外の中央銀行を含む間接入札者の割合は半分以上を占め、直接入札者の割合は10.1%と、201410月以来の高水準だった。

米財務省は今週、計1000億ドル超の入札を実施する。25日には7年債(290億ドル)の入札が行われる。

市場では米金融当局が12月に利上げするとの確率は74%織り込まれている。これは8月以来の最高に近い。この確率の計算は利上げ後に実効フェデラルファンド(FF)金利が平均0.375%になるとの仮定に基づく。

2年債利回りに対する10年債の上乗せ利回りは130bpに縮小した。これは終値ベースで2月以来最も小さい。

商品価格の下落もインフレ期待の抑制につながっている。原油価格は1年前と比べて40%超値下がりしており、金融当局が注視する物価指数は2012年以降、目標とする2%を下回っている。ブルームバーグがまとめた予想中央値によると、個人消費支出(PCE)価格指数は10月に前年比で0.3%上昇となっている。

ジェフリーズの米国債エコノミスト、トム・サイモンズ氏は「利回りカーブは依然として、初回利上げの後にすぐ次の利上げが来ると、市場が見ていないことを示している」と述べた。

反発、トルコのロシア戦闘機撃墜で-逃避の金買いを誘発

24日のニューヨーク金相場は3営業日ぶりに上昇。シリア国境に近いトルコ領空を侵犯したとして、ロシアの戦闘機をトルコが撃墜したと明らかにしたことから、安全性への逃避が一気に活発になった。

RJOフューチャーズ(シカゴ)のシニアマーケットストラテジスト、フィル・ストライブル氏は電話インタビューで、「トルコとロシア戦闘機をめぐる地政学的なニュースが増え、金先物は即座に反発した」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物2月限は前日比0.6%高い1オンス=1073.30ドルで終了。一時は1.3%高まで買い進まれた。

銀3月限は0.9%上昇し1オンス=14.188ドル。プラチナ1月限は0.7%下げて同841.70ドル。パラジウム12月限は0.1%未満高い同541.50ドル。

:急伸、ロシア戦闘機撃墜で地政学リスクが再燃

24日のニューヨーク原油市場でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は大幅上昇。シリア国境に近いトルコ領空を侵犯したとしてロシア戦闘機をトルコが撃墜したことから、中東での紛争がさらに激化するとの懸念が広がった。

エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は電話取材に対し、「この数週間、地政学的な懸念材料とテロが市場に与える影響が大きくなっている」と指摘。「中東は大量の原油が通過する地域であり、そこでの脅威が深刻化している。その安定の重要性は増しており、地政学的リスクプレミアムが再び高まった」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は前日比1.12ドル(2.68%)高い1バレル=42.87ドルで終了。終値ベースでは今月11日以来の高値。

:続落、トルコのロシア機撃墜で旅行関連株に売り

24日の欧州株式相場はこの日も軟調で、指標のストックス欧州600指数は続落した。トルコ軍がシリアとの国境近くでロシア機を撃墜し、シリア内戦をめぐり外国勢力が直接対峙する事態に発展したことが背景にある。

ストックス600指数は約2週間ぶりの下げとなり、構成銘柄のうち510銘柄が値下がりした。商品安と米利上げ観測が高まる中で、投資家らが最近の株価反発について疑問を持ち始めたところだった。

CMCマーケッツ(ロンドン)の市場アナリスト、ジャスパー・ローラー氏は、「センチメントはリスクオフに向かいつつある」とし、「恐らく売る理由が求められていたところで、今回の事態で全体的な安全保障をめぐる懸念が生じた。航空機に関連する全ての業界で不透明感が高まった」と語った。

ストックス600指数は前日比1.2%安の375.64で取引を終了。一時は2%下げた。ロシアのプーチン大統領がトルコによる戦闘機撃墜はテロ行為だと非難する一方、トルコ側は領空侵犯したロシア機の操縦士が再三の警告を無視したと主張。フランスのホテル運営会社アコー、仏蘭系航空会社エールフランスKLMグループ、同業の独ルフトハンザ航空はいずれも大幅安となった。

個別銘柄では、ケーブルテレビ(CATV)事業会社アルティスが9.4%安。ゴールドマン・サックス・グループが保有株を売却したことが嫌気された。航空機器を手掛ける仏ゾディアック・エアロスペースは7.7%下げた。2016年の営業利益率見通しが市場予想に届かなかった。

 

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