コラム:中国の汚職問題を投資家がなぜ静観するのか

コラム:中国の汚職問題を投資家がなぜ静観するのか

9 11月 2015, 13:58
Kadze
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なぜ投資家たちは、中国政府が実施する汚職撲滅キャンペーンに対してとても楽観的なようにふるまっているのか。もし西欧諸国で大企業の幹部が政府から摘発されたのであれば、その企業の株は大きく下落するだろう。


しかしながら、習近平政権が推進している反腐敗運動で摘発された場合は全く違う。なぜならばこのキャンペーンがあまりに広範囲に及んでおり、企業よりも個人をターゲットとしているからである。その上、市場全体がすでに罰を受けている。


最近では、国有自動車大手、東風汽車の朱福寿・総経理と、中国農業銀行の張雲・頭取が摘発された。どちらも、重大な事件だ。


東風汽車は国内第2位の自動車メーカーであり、ホンダや仏プジョー、ルノー、日産自動車と提携している。一方の中国農業銀行は国内第3位の国有銀行だ。しかし、東風汽車の香港上場子会社も中国農業銀行も、株価はそれほど下落していない。


なぜだろうか。まず第一に、捜査は不正に関与する個人にとっては重要だが、国有企業なら痛くもない。誰が役職に就こうが、政府の指示を実行することに変わりないからだ。


そして不正を行った個人に非難が集中するため、企業の信頼はあまり失われない。国有企業が、別の国有企業を陥れようとはしない。国有銀行も貸し出しを続ける。


もっ と言うと、不正行為は日常茶飯事である。2000年以降、中国の上位企業50社のうち3分の2が、報じられている汚職捜査の対象になっていると、米資産運 用会社バーンスタインのアナリスト、マイケル・パーカー氏は指摘している。習主席が進める反腐敗運動を主導している王岐山氏も捜査対象を拡大している。

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