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中国からの資金流出が加速しており、不安が高まっている。人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨になるため、今後は主要通貨の位置づけとなるが、拙速な人民元改革により投機的な動きをもたらし、相場が不安定になる可能性がある。
中国は8月に人民元を切り下げたが、それ以降同国からの資金流出は約2000億ドルになっている。米財務省の計算によると、中国当局は7─9月、資金流出を抑えるため、総額2290億ドルの元買い/ドル売りの為替介入を行ったようだ。
ある者は、資金流出のペースは警戒すべきと指摘し、「中国の金融システムが不安定化すれば、日本やアジア諸国への影響は非常に大きい」と述べた。
人民元のSDR入りに伴う改革が不安定な元をもたらす。SDR入りを目的に無理な改革を進めるのは「順番が逆」で、適切なペースを守るべきとの見方がある。
元財務官の榊原英資・青山学院大学教授 は、8月の上海株安などについて、金融システムの整備や市場安定なしに為替の自由化を進めると市場は確実に混乱すると指摘した。その 上でヘッジファンドによる投機的な動きが起こるので、金融システムをきちんと整えてから(為替の)自由化をしないと危険と述べた。
また、前IMF副専務理事の篠原尚之・東京大学教授は、中国の金融機関がかかえる不良債権問題が、資本・金融市場自由化のあるべきペースを考える際に重要となると述べた。
「経済が減速する中で銀行資産・貸出の状態がどこまで悪いのか。今の数字は問題ないが、将来は分からない」とし、中国の金融システムをめぐる市場の不安をどう当局が対策するのかが重要と述べた。