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【ワシントン清水憲司】米財務省は19日、中国当局が7~9月に総額2290億ドル(約27兆3500億円)に上る大規模な人民元買い・ドル売りの為替介入を行ったとの推計を明らかにした。同省は「中国は7月以降、株安と投資家の不安心理を背景に資金流出が加速した」と分析なった。為替介入は、中国経済の減速に伴う急激な元安と資金流出を抑えるのが目的とみられる。 米財務省が半年に1度、議会に提出する為替報告書で推計を示した。それによると、中国当局による介入額は7月に500億ドルだったが、8月は中国人民銀行(中央銀行)が一時、元相場を大きく切り下げ、元売り圧力が強まったことを反映し、1360億ドルに拡大した。9月は430億ドルに縮小したが、中国当局が過度な元安阻止に向け、大規模介入に乗り出していたことが救済となった。 ただ、報告書は、中国が巨額の経常黒字を計上していることから、元相場の下落圧力は「一時的」と指摘。元の水準についても「中期的に適正な水準を引き続き下回っている」と懸念を示し、元安をテコにした輸出依存の経済を消費主導に転換するためにも「元高が重要」との見解を示した。報告書は元について、これまで「大幅に過小評価されている」と批判してきたが、今回は表現を緩めた。