日本郵政グループ3社は7日、新規株式上場(IPO)にともなう株式売出の仮条件を発表した。仮条件のレンジの中央値は、想定売出価格から50─100円低い水準に引き下げられた。国内外の株安を背景に日本の銀行や生保の株価も値を下げており、比較対象となる銘柄のバリュエーションの切り下がりを反映したとの見方が大勢を占める。
日本郵政(6178.Т)の仮条件は、1株あたり1100─1400円、子会社のゆうちょ銀行(7182.Т)は1250─1450円、かんぽ生命保険(7181.Т)は1900─2200円となった。
9月に上場承認が降りた、発表された各社の想定発行価格は、日本郵政が1350円、ゆうちょ銀行が1400円、かんぽ生命は2150円だった。
主幹事団を構成する複数の証券会社は、投資家からの需要を見極めて、最終的に仮条件のどの水準で売出価格を設定するのが決定する。売出価格は、日本郵政については10月26日、ゆうちょ銀行とかんぽ生命は同19日に決定する予定。
IPOでは投資家の買い需要をみると、「仮条件の上限で実際の売出価格を決めるのが美しいディール」(大手証券)とされる。
買い需要についての投資家の意見はそれぞれ。個人は「郵政株はもうかるとは思っていない。相場が2万円を割って、ぱっとしない」と冷めた見方もあるが、「安定成長株として高い配当利回りを期待する個人を中心に人気が高い」との声も多い。
たとえば「ゆうちょ銀行の売出価格は、仮条件の上限の1450円で決められるとみている証しではないか」とアナリストの指摘も出ていた。
日本郵政の売出価格が、仮に1250円となると、配当利回り(今期予想ベース)は約4.2%、ゆうちょ銀行の売出価格が仮に1350円とすると配当利回りは約3.3%になり、高配当利回り銘柄の一角に入る。