記事「MQL5における単変量時系列への動的モード分解の適用」についてのディスカッション

 

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動的モード分解(DMD: Dynamic Mode Decomposition)は、主に高次元データセットに対して用いられる手法です。本稿では、DMDを単変量の時系列に適用し、その特性把握や予測に活用できることを示します。その過程で、MQL5に搭載されているDMDの実装、とりわけ新しい行列メソッドであるDynamicModeDecomposition()について詳しく解説します。

動的モード分解(DMD: Dynamic Mode Decomposition)は、複雑な動的システムを分析するための手法です。工学分野では、DMDは流体解析において時空間構造を抽出する技術として利用されています。DMDは、時系列データを固有モードと呼ばれる線形動的表現へ分解します。各モードは固有の空間的形状を持ち、それぞれ異なる振動周波数や成長・減衰率を示します。これにより、しばしば解くことが難しい支配方程式を扱うことなく、流体系の根本的な力学を分析することが可能になります。

時空間構造とは、時間と空間にわたり形状や特性を保ちながら存在し続けるパターンを指します。たとえば、空中を漂う煙の輪を思い浮かべてください。煙の輪は周囲の空気が動いていてもその形を保ちながら一体となって移動する構造です。

エンジニアは、このような複雑な流れの中に存在する時空間構造を特定し分析するために、DMDのような手法を使用します。本稿では、MetaTrader 5におけるDMDの実装について解説します。実際のコード例を通じて、新しい行列メソッドDynamicModeDecomposition()の使い方を学びます。また、その入力仕様の説明に加え、得られた出力を処理するために必要な基本的なコードユーティリティについても紹介します。


作者: Francis Dube