記事「データサイエンスとML(第38回):外国為替市場におけるAI転移学習」についてのディスカッション

 

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AIの画期的な進歩、たとえばChatGPTや自動運転車などは、単独のモデルから生まれたわけではなく、複数のモデルや共通の分野から得られた累積的な知識を活用することで実現しています。この「一度学習した知識を他に応用する」というアプローチは、アルゴリズム取引におけるAIモデルの変革にも応用可能です。本記事では、異なる金融商品の情報を活用し、他の銘柄における予測精度向上に役立てる方法として、転移学習の活用方法について解説します。

以下は、実世界でAIの専門家が転移学習を使用する例です。 

猫と犬の画像分類モデルを構築したいが、手元に1,000枚しか画像がありません。深層CNNをゼロから学習させるのは困難です。そこで、ImageNet(1,000クラス、数百万枚の画像を含むデータセット)で事前学習済みのResNet50VGG16を活用し、その畳み込み層を特徴量抽出器として利用します。その上で、独自の分類層を追加し、小規模な猫・犬データセットで微調整(ファインチューニング)をおこなう方法です。

このプロセスにより、モデルの情報を再利用でき、開発者として毎回ゼロからモデルを構築する必要がなくなります。類似タスクに特化した既存モデルをベースに学習をスケーリングできるため、効率的です。

一般に、スケートの経験がある人や定期的にスケートをする人は、スキーやスキー競技でも比較的上手にできる傾向があります。これは、両者のスポーツに共通点があるためで、個別に集中的な訓練を受けなくても応用が効くためです。

金融市場でも同様のことが言えます。異なる銘柄は異なる経済資産や金融市場を表していますが、ほとんどの市場は需給の影響を受けるため、基本的な挙動は非常に似ています。

市場を技術的な観点で詳しく観察すると、すべての市場は上昇・下降を繰り返し、似たようなローソク足パターンが複数の市場で確認できます。インジケーターも異なる銘柄で類似したパターンを示すことが多く、このような共通の挙動は非常に多く見られます。これが、ある銘柄で学んだテクニカル分析取引戦略を、銘柄ごとの価格の大きさの違いに関わらず、他の市場でも応用できる主な理由です。

しかし、機械学習モデルは通常、これらの市場間の類似性を自動的には理解しません。本記事では、転移学習を活用してモデルに複数の金融商品のパターンを理解させ、効果的に学習させる方法について解説します。また、この手法のメリットとデメリット、効果的に転移学習をおこなうために考慮すべきポイントについても詳しく説明します。


作者: Omega J Msigwa