記事「PythonとMQL5を使用した特徴量エンジニアリング(第1回):長期AIモデルの移動平均の予測」についてのディスカッション

 

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移動平均は、AIモデルが予測するのに最適な指標です。しかし、データを慎重に変換することで、さらなる精度向上が可能です。本記事では、現在の手法よりもさらに先の未来を、高い精度を維持しながら予測できるAIモデルの構築方法を解説します。移動平均がこれほど有用な指標であることには驚かされます。

前回の記事では、AIモデルが将来の価格レベルよりも移動平均の値を予測しやすいことを示す証拠を紹介しました。しかし、この結論が確かなものかどうかを検証するために、私は200を超える市場銘柄に対して、まったく同じ2つのAIモデルを訓練し、「価格予測」と「移動平均予測」の精度を比較しました。その結果、価格を直接予測する場合、移動平均を予測する場合と比べて平均34%も精度が低下することが分かりました。

具体的には、移動平均の予測精度は平均70%であるのに対し、価格予測の精度は52%にとどまりました。移動平均は、設定した期間によって価格の動きと必ずしも一致しないことはよく知られています。例えば、価格が20本以上のローソク足で下落していても、移動平均が同じ期間に上昇していることがあります。このような乖離があると、たとえ移動平均の未来の動きを正しく予測できても、実際の価格とは異なる方向に動く可能性があり、取引においては望ましくありません。しかし驚くべきことに、この乖離率はどの市場でも約31%で一定であり、さらに乖離を予測する能力は平均68%に達していました。

また、乖離の予測精度の分散は0.000041、乖離の発生自体の分散は0.000386という結果が得られました。これは、モデルが高い信頼性を持って自己修正できることを示しています。長期的な取引戦略にAIを活用しようと考えているトレーダーは、より長い時間軸でこのアプローチを検討する価値があるでしょう。現在の議論はM1(1分足)に限定していますが、これはすべての297市場において十分なデータを確保し、公平な比較をおこなうためです。

移動平均が価格よりも予測しやすい理由はいくつか考えられます。そのひとつは、移動平均の予測は、価格の予測よりも線形回帰の概念に適合しているという点です。線形回帰では、データが複数の入力の線形結合(加算)であることが前提となっています。移動平均は、過去の価格データを一定期間加算・平均したものなので、この線形仮定が成り立ちます。一方で、価格そのものは単純な数値の合計ではなく、複雑な市場要因が絡み合った結果として決定されるため、予測が難しくなります。

作者: Gamuchirai Zororo Ndawana