日本株続伸、JTなど食品や海運中心広く買い-業績評価、円安安心も

日本株続伸、JTなど食品や海運中心広く買い-業績評価、円安安心も

5 11月 2015, 09:43
Kadze
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5日午前の東京株式相場は続伸。今期純利益と配当計画を上積みしたJTなど食料品株が業種別上昇率のトップ、陸運や建設、銀行株など相対的に内需セクターの上げが目立ち、海運株や電機など輸出株の一角も堅調。好業績を評価する動きに加え、米国の年内利上げ観測を受けた為替の円安推移、中国株高も市場に安心感が広がる要因になった。

TOPIXの午前終値は前日比16.55ポイント(1.1%)高の1556.98、日経平均株価は19551銭(1%)高の1万912242銭。

パインブリッジ・インベストメンツの前野達志マネージングディレクターは、12月の米利上げの可能性が高まると「日本に関しては、円安という方向でプラスに効いてくることもある」と指摘。日本株に対し「センチメント、モメンタムが強いイメージを持っている」と話した。

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は4日、下院金融委員会で証言し、「現時点では米経済は順調だと判断している」と述べ、経済データで成長と物価の上昇が引き続き示されれば、12月利上げの「現実的な可能性」はあるとの認識を示した。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、12月利上げについて「現実的な可能性がある」とのイエレン議長の意見に完全に同意する、と発言した。 

同日発表された米供給管理協会(ISM)の10月の非製造業総合景況指数は、59.1と前月の56.9から上昇、過去10年間で2番目の高水準となった。給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・ インスティテュートが発表した10月の米民間部門の雇用者数は、前月比182000人増。市場予想は18万人増で、前月は19万人増に修正された。

米利上げ観測の高まりから、4日の米国株は下げる一方、米2年債利回りは2011年4月以来の水準まで上昇。ニューヨーク為替市場ではドルが上昇し、きょう午前の東京市場では1ドル=12140銭台と前日の日本株市場の終値時点12111銭に対し円安方向で推移した。

また、中国上海総合指数は4.3%高と急伸した4日の取引に続き、きょうも一時2.6%高と堅調。8月26日の安値からの上昇率は、強気相場への転換を示すとされる20%を超えた。大和証券投資情報部の三宅一弘チーフストラテジストは、8-9月は米国と中国の要因で下げたが、米国株は最高値圏まで戻ってきており、需給不安や企業業績への懸念で出遅れていた日本株も「それらが払しょくされてきた。バリュエーション面でも安い」と言う。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、2日現在で4-9月期の売上高経常利益率は全産業で7.9%増と04年度以降のピークを上回っている。業種別では建設、繊維、化学、ガラス・土石製品、電機、陸運、サービスがピークを更新。東証1部上場企業の15年度経常利益予想は、前年比13.4%増とアナリスト予想を7.8ポイント下回る半面、増益基調は維持している。大和証の三宅氏は決算について、「二極化しているが、内需系は想定よりも強く、外需でも米国に絡んだ企業は強い」とみていた。

東証1部33業種は食品、海運、金属製品、銀行、非鉄金属、倉庫・運輸、陸運、建設、医薬品、ゴム製品など31業種が上昇。石油・石炭製品と輸送用機器の2業種は下落。東証1部売買高は121161万株、売買代金は1兆4727億円。上場銘柄数は1298、下落489

売買代金上位では、前日新規上場した日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の郵政グループ3社はそろって上げ、投資人気が持続。JTのほか、岩井コスモ証券が投資判断を「アウトパフォーム」に上げた塩野義製薬も上げ、日本郵船やダイセル、上期増益の古河電気工業やカシオ計算機も高い。半面、7-9月期営業利益が予想を下回ったホンダ、一部報道を受け上期は900億円程度の営業赤字事実を認めた東芝は安い。顧客離れへの警戒でタカタは大幅続落。