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テクニカル分析:どのように分析するのか?

テクニカル分析:どのように分析するのか?

MetaTrader 5トレーディング | 28 10月 2015, 12:53
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Victor
Victor

はじめに

テクニカル分析の利用にいくらか関連しているさまざまな出版物を見ると、出くわす情報は関心を引くものでない場合もあり、また読んだ情報についてのコメントがしたくなる場合もあります。本稿執筆に導いたのはこのコメントしたいという気持ちです。本稿では特殊な分析方法を用いて、まずわれわれの行動を分析し、そして再度結果を分析します。


再作成

https://www.mql5.com/ja/codeに公表されているインディケータに関するコメントをみると、前回計算した値が変わり、次のバーが形成される間に再作成されているインディケータに対して、かなり多くのユーザーが極端にネガティブな態度であることに気づきます。

インディケータが再作成されることが明白になると、それに関心を払う人はなくなります。往々にしてインディケータの再作成に対するそのような態度はきわめて妥当なものですが、中には再作成は一見したほど悪くないという場合もあります。そのことを示すため、もっともシンプルな SMA インディケータを分析します。

図1ではブルーが低確率フィルターのインパルス特性を示しています。これは SMA (15) インディケータに対応しています。図に表示されているケースについては、SMA (15) はインプットシーケンスの最終 15 カウントの合計です。ここで各インプットカウントは存在するインパルス特性に対応して 1/15 倍されたインプットカウントです。間隔15 カウントにおいて計算されたSMA (15) 値を持っていますが、この値をどの時点に割り当てるか判断をする必要があります。 

前回の 15 インプットカウントの平均として SMA (15) を受け入れると、この値は下図に示す上のチャートのように表示されます。よってそれはゼロバーに相当するはずです。有限長のインパルス特性を伴う低率フィルターとして SMA (15) を受け入れる場合、計算された値は、下側のチャートに示されるようにフィルター内での遅延を考慮してバー番号7と一致する必要があります。

単純な移動により移動平均チャートをゼロ レイテンシーの低確率フィルターチャートに変換します。

ゼロ レイテンシーチャートを使用する場合、いくつかの従来分析手法はややその有意性を変えることに注意が必要です。たとえば、異なる期間での2件の MA プロットの交点と補正されたディレイでの同じプロットの交点は異なる時刻に発生します。二番目のケースでは交点モーメントを取得します。これはモーメントのレイテンシーではなく MA 期間によってのみ決定されます。

図1に戻ると、下のプロットで SMA (15) 曲線は平均期間の半分の値分インプットシグナルのもっとも最近のカウントには達していないのが簡単に判ります。7 カウントの領域は形成しています。ここでは SMA (15) 値は決められていません。あいまい領域が出現しましたがそれは根本的に誤っているため、ディレイは補正されましたが、いくらか情報を失ったと考えられます。

同じあいまい領域が上側のチャート(図1)にもあります。ただ移動により右側に隠れています。ここにはインプットカウントはありません。MA チャートはインプットシーケンスに対する時間バインドを失い、ディレイサイズは移動のため MA の平滑化化期間に依存します。

図1 SMA (15) のインパルス応答
 図1 SMA (15) のインパルス応答

異なる期間の MA を使用するとき、発生したディレイがすべて常に補正されるなら、結果としてインプットシーケンスとお互いに対してバインドする特定時刻のチャートをもたらします。ただし反論の余地がないメリットがあるものの、この方法ではあいまい領域が発生することが予測されます。それが発生する理由は時間の有限長シーケンス処理に関してよく知られる特徴ですが、われわれの推論の誤りではありません。

補間アルゴリズム、多様なフィルタ機能、平滑化などを用いるため、そのようなシーケンスの境界で発生する問題に直面しているのです。そしてそれを移動させることで結果部分を非表示にすることはだれも考えないのです。

描写しない部分のある MA チャートがフィルタリングの正しい表現であることを認めざるをえませんが、それらはとても異常に見えます。公式見解では、7より低い指数を持つアウトプットカウントに対してフィルター SMA (15) の値 Shift=-7 は計算できません。インプットシーケンスの場合、境界を頼りに平滑化する他の方法はあるのでしょうか?

同じ SMA アルゴリズムを持ってこれらカウントをフィルターにかけてみますが、各バーの平滑化期間をゼロに近づくよう減らして行います。また、忘れてはいけないのは使用されるフィルターのディレイ補正です。

 

図2 修正済み SMA
2 修正済み SMA 

図2 はこの場合 0 ~ 6 の指数を持つアウトプットカウントが どのように作成されるかを示しています。平均値を計算するのに使用されるカウントは、一般的に図の下方で色付の点でマークされています。タテ線はこの平均が割り当てられているアウトプットカウントを示しています。ゼロバーでは処理は行われません。インプットシーケンス値はアウトプットシーケンスに割り当てられています。7 以上の指数を持つアウトプットシーケンスに対しては、計算は通常の SMA (15) Shift =- 7 で行われます。

そのような方法を用いると指数間隔 0 ~ 6 のアウトプットチャートは発生する新規バーごとに再作成され、指数が減ると再作成の強度は上がります。同時にあらゆるアウトプットシーケンスに対するディレイは補正されます。

分析例では、標準的 SMA (15) の類似体である再作成するインディケータを得ましたが、ゼロディレイと標準的 SMA (15) にはないインプットシーケンスの境界での余分な情報を伴っています。そのようなゼロディレイと余剰情報をメリットとして受け入れ、再作成インディケータを得ましたが、それは標準的 SMA インディケータよりも有益なものです。

この例で再作成はなんら破壊的な結果につながらないことを強調しておきます。結果のプロットでは標準 SMA に対すると同様の情報があり、そのカウントは左に移動しています。

例ではおかしな SMA 期間が選択されています。それは完全にSMA に対する時間におけるディレイを補正しています。


t = (N-1)/2,

ここで N は平滑期間です。

値 N に対してさえこの方法ではディレイは完全に補正できず、提案されるシーケンス境界で平滑化を行うカウント方法が唯一の可能性ではありません。インディケータ構築のバリアントはここでは完全なインディケータとしてではなく一例とみなされるにすぎまぜん。


マルチタイムフレーム

MQL4 および MQL5 ウェブサイトでいわゆるマルチタイムフレームインディケータを見ることができます。" iUniMA MTF " インディケータ例によってマルチタイムフレームによってなにが得られるか解明します。

もっとも低い M1 タイムフレームウィンドウにいて、同じウィンドウ内に平滑化されたM30 タイムフレームの「オープン」または「クローズ」 値を表示するとします。その際平滑化には SMA (3) を利用します。M1 タイムフレームから値 30 個ごとにサンプリングをし、残りの値 29 個は破棄することでM30 タイムフレームシーケンスができることは知られています。ここで M30 タイムフレームシーケンスを使用するのは妥当なのかという疑問が生まれます。 

M1 タイムフレームに関し特定量の情報にアクセスできるならば、 M30 タイムフレームとのコンタクトポイントは何か、どれがその情報の1/30 だけを持つのでしょうか?考えられるケースにおいて、意図的に利用可能な情報の多くを除外し、SMA (3) から残るものを処理し、M1 タイムフレームソースウィンドウに結果を表示します。

以上の処理がかなり奇妙に見えるのは疑う余地がありません。M1 タイムフレームの完全なシーケンスに SMA (90) を適用するだけの方が簡単ではないのでしょうか?M1 タイムフレーム上の SMA (90) フィルタースライスの周波数は M30 タイムフレーム上の SMA (3)フィルタースライスの周波数と等しくなります。

図3ではマルチタイムフレームインディケータ "iUniMA MTF" のEURUSD M1通貨ペアチャート上での使用例が示されています。ブルーの線は M30 タイムフレームシーケンスに対して SMA (3) を適用した結果です。同じ図で赤の線は標準『移動平均』インディケータで取得した結果です。よって標準 SMA (90) インディケータを適用するのがより自然です。

また特別な技術は必要ありません。

 図3 マルチタイムフレームインディケータ使用

図3 マルチタイムフレームインディケータ使用

マルチタイムフレームインディケータのもうひとつ別の使用法があります。それは現在タイムフレームに応じた最低タイムフレームから情報が端末に表示される場合可能です。表示のクオートスケールを最低のタイムフレームでターミナルが許容する以上に圧縮する必要がある場合、このバリアントは有用です。ただこの場合もクオートに関する追加情報は取得できません。

もっとも低いタイムフレームに変え、標準インディケータで処理するデータをすべて処理する方が簡単ですが、マルチタイムフレームでのデータは処理できません。

カスタムインディケータまたは Expert Advisors を開発するとき、特殊な状況が発生する可能性があります。それはさまざまなタイムフレームシーケンスへのアクセスを統合するのが妥当で、それが唯一可能な解決法の場合ですが、この場合でも高いタイムフレームシーケンスは低いタイムフレームシーケンスから作成され、それ以外の独自情報は持たないことを忘れないようにします。


ろうそく足チャート

テクニカル分析に関する出版物では、ろうそく足チャートと関連するすべてに対する刺激的内容をよく見かけます。たとえば、記事 "Analysing Candlestick Patterns" では次のように話されています。「ろうそく足のメリットはデータ内のモメンタムが見えるようにデータを表示することです」。... 日本式のろうそく足チャートは金融マーケットの『内側』を見抜くのに役立ちます。それは他のグラフ手法ではひじょうに難しいことです。

また、それはそのような発言の唯一の根拠ではありません。そこでろうそく足チャートで金融マーケットに参加できるのか解明していきます。

『安値』、『高値』、『始値』、『終値』のシーケンスはろうそく足チャートの形式でレートを表現するのに使用されます。これらはどんな種類の値か思い出します。『安値』、『高値』は選択した時間枠における最低、最高のレート値です。『始値』は分析対象期間で知る最初のレート値です。『終値』は分析対象期間で知る最後のレート値です。これは何を意味するのでしょうか?

これはそもそもマーケットのレートの値から『安』、『高』、『始め』、『終わり』のシーケンスが作成されるどこかです。この方法による『安値』、『高値』、『始値』、『終値』の作成は厳重に時間に束縛されません。それ以外にこれらシーケンスを初期レートから復元する方法がないのです。もっともおもしろいことは任意のバーの任意の時間枠における『安値』、『高値』、『始値』、『終値』の同じ組合せは元のレートシーケンスのバリアントの無限数によって作成することができることです。これら結論は重要ではなく周知の事実に基づいているものです。

よってろうそく足チャートの形でマーケットレートを使用するなら、元の情報は取り返しがつかないまでに歪んでしまいます。『安値』、『高値』、『始値』、『終値』のいずれかのシーケンスのレート変動評価に分析の厳密な数学手法を使用すると、結果はマーケットレートではなくシーケンスのゆがめられた表示にひもづいてしまいます。それでもなお、ろうそく足チャート分析には大きなメリットがあることは認めざるをえません。

そのことはどうやって説明できるのでしょうか?おそらく秘密はまず、ろうそく足チャート形式でのレート表現の目的がすばやいビジュアル的直観的マーケット分析であるが、ろうそく足チャートには数学的分析を適用しないことでしょう。

ろうそく足チャート形式でのレート表現がどのようにテクニカル分析で使用可能なのかを理解するために、パターン認識理論から始めます。これは公式化された数学分析手法よりも人間の判断方法により近いものです。

図4ではパターン認識理論に従い意思決定の簡素化されたスキームを示しています。この場合の決定とはトレンドの開始時または終了時決定や、ポジションをオープンする最適な時点の判断などです。

 

図4 意思決定スキーム図

図4 意思決定スキーム図

図4に示されるように、最初のデータ(レート)は事前に処理され、有意な特性はそこからブロック 2 で形成されます。われわれの場合では、こういった値は«安»、«高»、«始め»、«終わり»です。われわれはブロック1、2 では処理に影響を与えることはできません。端末側では、すでに決定済みのその特性のみ利用可能です。これら特性はブロック 3 に行きます。そこでは判断は特性ごとに行われます。

意思決定アルゴリズムはソフトウェアで、または仕様を忠実に守り手動で実装することができます。意思決定アルゴリズムを開発しなんとか実装することができますが、分析済みのレートシーケンスから有意特性を選択することはできません。というのもこのシーケンスはわれわれには利用できないからです。

正しい判断をする確率を増やすという視点では、もっとも重要なことがらは有意な特性とその本質的な量を選択することですが、この重要な機能はわれわれにはありません。この場合、この信頼性に影響を与えることやそのマーケット状況認識はきわめて難しいことです。なぜならもっとも進んだ意思決定アルゴリズムでも不適切に機能を選択することに関連したデメリットを補正することはできないからです。

プラス。。。このスキームによる意思決定アルゴリズムとは何なのでしょうか?われわれの場合では、それはろうそく足分析調査において公表されているルール一式です。たとえばろうそく足タイプの決定、多様な組合せの意味の公開などです。

パターン認識理論を参照すると、ろうそく足チャート分析はこの理論に適しているが、有意な特性としての『安値』、『高値』、『始値』、『終値』の選択が最良であると断言することに根拠はないという結論に達します。また、特性の不適切な選択はレート分析プロセスでの正しい決断可能性を大幅に減らすかもしれません。

最初に戻りますと、自信を持ってろうそく足チャート分析は「金融マーケットの『内側』を解明する」とか「データを伴うモメンタムを確認する」ことにはなりにくいと言えます。また、他のテクニカル分析手法に比べるとその効率はかなり疑わしいものです。


おわりに

テクニカル分析はかなり保守的な分野です。その基本的前提条件形成は18~19世紀にはじまり、この基本が現在までほとんど変わっていません。同時に過去10年、グローバルマーケットの構成はその発展の過程でかなり変化しました。オンライントレーディングの発達がマーケット動向の性質を作る一因となりました。

この状況ではもっとも認知度の高い理論や従来のテクニカル分析手法の利用でさえ十分なトレード効果をもたらすとは限りません。

それでもなお、コンピュータの利用可能性とさまざまな職業の人々が示すマーケット トレーディングへの興味がテクニカル分析手法の発展を促します。今日マーケット分析はより正確で繊細な分析ツールの開発を必要としているのは疑う余地のないことです。

MetaQuotes Ltdによってロシア語から翻訳されました。
元の記事: https://www.mql5.com/ru/articles/174

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