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マーチンゲールとは何ですか?

マーチンゲールとは何ですか?

MetaTrader 4トレーディング | 17 2月 2016, 12:34
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kamal
kamal

マーチンゲールという語がなぜそんなに多くの意味を持つのか語るのは簡単ではありません。しかし、一つ確かなことがあります。:トレーダーがマーチンゲール法を利用すれば、デポジットは常に危険にさらされる、ということです。マーチンゲールの賭け戦略のメリットとデメリットは何でしょうか?戦略の中でどのようにスパイクを取ることができるのでしょうか?マーケットはマーチンゲールなのでしょうか?本稿ではこういったすべて、また他に密接に関連する、そして相互関連のある疑問についてお話しします。


語源


マーチンゲールはmartegal (フランス語の方言の意味はマルチーグの住人マルチーグはフランスのある村です(またはでした))の英語訳です。マーチンゲールのの最も古い意味は、ヘッドキャリッジを制御するための馬に使ったびょうです。この意味は、少なくとももっとも知られたものですが、別の意味の方がわれわれにとっては重要です。:マーチンゲールは賭けの戦略です。ギャンブルをする人は負けの後毎回かけ金を2倍にし、そこから最初の勝ちがそれまでの負けを取り戻し、プラス元の賭け金と同額の利益を得る、というものです。トレーダーはこの名前を関連する戦略すべてにつけます。また数学者はマーチンゲールという語を、現在値と前回値を与えられると、次の値の条件つき期待値が現在値であるストキャスティックプロセスに名前をつけるのに使います。それは誰も勝たず、誰も負けない一種の『公正なゲーム』です。そのフランスの村、マルチーグについては、そこの住人は一風変わっていておそらく冒険的だと考えられていたのでしょう。いずれにしても、意味がこのように多くあることが、往々にして誤った使い方をされる理由なのです。では、マーチンゲールとは何でしょうか?


戦略としてのマーチンゲール


「彼(ボンド)はプログレッシブ方式(マーチンゲール)でプレーしていた。
5番テーブルで赤に賭けた。… 粘って全額でプレーしているようだ。」
イアン・フレミング 『カジノロワイヤル』


ボンドはどんなプログレッシブ方式を利用したのでしょうか?前述のとおり、マーチンゲールはギャンブル、たとえばルーレット、で負けたとき、かけ金を2倍にする、という意味です。一見、この戦略は、資金にまったく制限がなければ、儲けになるように思えます。ついてる日もあるでしょう!ただし、ルーレットで金持ちになった人たちばかりではありません。戦略が優れているように見えても、です。では何が問題なのでしょうか?最終的には無限に資金があるわけでなくても、小さな初期資金で始めるとかなり長く持ちこたえることができます。

この理論や似たような理論が、愚かな人々を全財産でそのような戦略を試すよう急き立てます。しかし、ルーレットで、ではありません。チャンスのゲームに熱中しないように教育されている人もいます。そういう人は Forex でそれを試すのです。より知的で冒険的な人は、しばしば他人のお金でも試そうとします。そういうわけで新製いんちきトレーダーはプレーを開始します。収益性あるトレードは損失を生むトレードと交互にやってきますが、ゲームをする人は、初期資金を2倍にすることでしばらくの間お金を稼ぎます。これでトレーダーは自分の選択が正しいと信じるようになります。ただ、遅かれ早かれ(トレーダーの健康のためには早めに起こる方がよいものです)不運はひじょうに長引き、そのため投資額を2倍にする資金はありません。結果、インターネットの荒野にもう一つの不運が登場するのです。「勝利の近くで資金が尽きた」「純粋な不幸に打たれた」不幸なトレーダーです。「ブローカーが偽りのクオートを提供したから」でなければよいのです。

まじめな話、古典的なマーチンゲールで買うトレーダーは多くあってはなりません。一部の幸運のナイトの愚かさを過小評価してはいけません。より複雑な手段は一般的に「スパイク」と呼ばれることに使用されます。以下がここでの意味です。選択を促されているとします。確率 99% で1ドル得るか、確率 1% で99ドル失うか。このトレードの平均的結果はもちろんゼロです。一般的に、それは集積性がなく危険です。大きな利益は悲惨な損失や妨害でチャラになるものです(これがここで「スパイク」という語がつかわれる使われる理由です)。Forex ではそのようなトレードをするのは極めて簡単です。:ストップロスをテイクプロフィットより99倍大きく設定すればこのようなことになります。それは非現実的でしょうか?テイクプロフィットにふさわしくないストップロス(なんとおそろしい!)や、それすらなしのトレーディングを行う人のことをなんと言えるでしょうか?

もちろん主な害は上で述べたことではありません。想像してください。:だれかがそのような「エキスパート」を検証したい、とかモニターしたがる場合を。ひとつ大きな敗北トレードがトレードオフがもたらす前にほとんどの場合、どれだけ収益性ある取引が行われるでしょうか?そしてその人は自分の『不運』と『最後の最後に資金が不足した』ことををどれほど長く嘆くことでしょう!

それでも問題はストップ注文がないことではありません。スパイクとストップの切っても切れない仲間はポジションのオーバーステイなのです。この間、価格は時としてひじょうに遠くに行ってしまいます。

ですが、マーチンゲールに基づく『聖杯』の専門家が繰り返し登場して、このトレーディング方法についてフォーラムでひじょうに真剣に何度も議論をするのです。なぜでしょうか?不整合ストップ、2倍のロット、オーバーステイ、この類のその他の策略を弄した戦略は完全に信頼性のない方法で検証されていることが判明するのです。そのような戦略は特定の履歴に対して簡単にでっちあげられ、魅力的な結果を提示することは実験的経験から知られています。実アカウントで使用すると、この戦略は1週間、1か月、1年はうまくいき、10、20、また50件のトレードを行い、少しラッキーなら良い/すばらしい結果を出します。それから、誤ったトレードだけがそれらをダメにしてしまいます。ではこれら戦略に何が加わるのでしょうか?


プロセスとしてのマーチンゲール


「マーチンゲール理論は数学的確率の歴史を説明する。
基本定義はギャンブルの初歩的粗削りな概念に触発されている。
しかしそのセオリーは近代的な理論数学の洗練されたツールとなった。」

J.L. Doob 著、"What Is a Martingale?"


実際、数学者はマーチンゲールをそれほど長く知っているわけではありません。最初の数学的記述は20世紀半ばに向かう頃出版されました作成者は『フェアプレー』の概念を作りたいという思いにつき動かされたのです。本稿でのちに考察するコミッションなしのルーレットやサイコロ、穴一のようなものです。マーチンゲールプロセスの数多くの異なる定義が広大なネット上で見受けられます。ですが、かなり本格的な理論的装置を使いこなせないと、正式な定義は役に立ちません。われわれはここでシンプルでありながらかなり厳格な定義を提示しようと思います。: マーチンゲールは、平均して時間によって上下しないプロセスである。よって、先行値すべてを受けて次の値を予想したければ、現在値以上に良い値はないということです(二乗平均値の面で)。

為替レートの変動がマーチンゲールに近づくかどうかという疑問は基本であると言わねばなりません。統計的観測ではこの疑問に対してすぐに否定的回答が出ます。たとえば、通貨レートのインクリメントは反相関であるのです。この前提は、数多くの古典的なまた新古典主義的モデルに根差しています(バシュリエ、ブラック・ショールズ・マートン、等)。そしてそれにより、デリバティブ(オプション、フォワード、等)の動きについて遠大な結論が導かれるのです。そのうえ、マーチンゲールという語は、どの瞬間でも『公正に』価格を決める効果的市場の概念によくあてはまります。よって、それは経済的に合理性があるのです。

マーチンゲール理論の礎石の一つは、停止と確率積分のさらなる構築の定理です。この定理はマーチンゲール法によって資金を得るのに役立つ合理的戦略はない。とします。どうしてでしょうか?と、まじめな読者の方は尋ねられるでしょう。何がマーチンゲール戦略の問題なのでしょうか?定理がそれを『不合理である』として切り捨てる理由は何でしょうか?問題は、取引終了に確実に近づいているとき、価格(より明確には、FX 用語においてはストップ注文が出される)や時間、すなわち水平線は固定されている、においてもっとも合理的な戦略が制限されていることです。もっとも重要なことは、それらすべて(ボリューム、取引ごとのロット金額、など)が資金において制限されていることです。最初の2件の内1番目と3番目の条件を満たす戦略はすべてつねに『合理的』であるのです。その他数多くの戦略も『合理的』ですが、ここでは技術的な詳細には踏み込みたくありません。マーチンゲール戦略にはデメリットが3点あります。:第1に無限の資金、第2に無限の時間、最後に『マーチンゲールスタイル』プレーヤーは巨大なドローダウンに苦しむことになることです。この例では、この方法では何も得ることができないことを示しています。なぜなら資金も時間も無限ではないからです。. またこの例は『収益性ある』戦略は罪のないゲームでもシミュレーションできる
ことを理解する助けとなります。

とはいうものの、現実に立ち戻り、簡単な例をいくつか使って上記理論を説明します。




『友よ、理論なんて物は無機質だが、
生命力は若さのエネルギーで満ちている。』

J.W. ゲーテ著、『ファウスト』より
英訳:B. Taylor

バランスの取れたコイン、すなわち表と裏が出る確率が同一である、を使った穴一を考察します。表が出たらプレーヤー B がプレーヤー A に支払い、裏が出たら A が B に支払うこととします。以下は、投げられた回数により A の資本が増えていく典型例です(図 1)。-チャンスパス(ブルーと赤)

                                                                                         図 1 

コインを投げるとき、二者間の平均ではプレーヤーは勝ちも負けもしません。どちらの一人かはわかりませんが、どちらか一人という意味では、確かに片方がお金を得、もう一方はお金を失うのです。両者の資本における変化の数学的期待値はゼロです。個別のコイン投げと共に、このことは、プレーヤー A のお金が増えることはマーチンゲールであると述べています。これにより同時に数多くの結論を導くことができます。たとえば、このゲームでは統計的に勝つことはできない、すなわちストップ戦略すべての平均はゼロである、という意味でこのゲームは公正であるという結論があります。われわれのプレーヤーに、マーチンゲール法の結果を心に留め、固定されたロット金額でプレーしてもらいましょう。この理論によると、プレーヤーはどんな合理的方法を使っても資金を得ることはできない、とされています。どうしてでしょうか?とおっしゃるかもしれません。プレーヤーは『儲かる』まで待ち、プレーを止めることができます(図 1 のグリーンの『テイクプロフィット』レベル)。そうです。しかし残念ながら、これが時々起こるにもかかわらず、プレーヤーは平均してそれをひじょうに長く待たねばならないのです。厳密に言えば、勝利時間の数学的期待値は『合理的戦略』概念に合わない無限なのです。そのうえ、プレーヤーが負け『続ける』と、最終的にゲームを止めるときのドローダウンは壊滅的でなものとなります。この状況は初心者に頻繁に見られるものです。

                                                                                         図 2 

しかしわれわれのプレーヤーはそれほど単純ではありません。前述したすべてによると、彼は『大きな』ストップロス、『少しの』テイクプロフィットを設定しました。図 2 にあるとおりです。ここで資本に限りがあるため、彼の戦略は『合理的』となりました。彼が実験しようとするとき、その戦略は、特に穴一でコミッションがないことに対して、長い時間の中でどんどん成長します。では何が問題なのでしょうか?定理が正しくないことはありえるのでしょうか?いいえ、定理は有効です!たとえば、テイクプロフィットやストップロスの確率など、注意深く計算するのにこの定理を利用すれば、ショートのテイクプロフィットが 10 件中 9 件で、巨大なストップロスが 10 件中 1 件だけで設定されているため、スパイク以外何も気づかないことがわかるのです。そのようはリスクの『延期』はプレーヤーにとって高くつきます。-1日ですべてを失うのです。

そのように原始的ではありますが、それでも穴一の例はマーチンゲール戦略のリスクの高い資金管理の隠されたアジェンダを明らかにします。実際、ポジションに純然たるリスクを加えるだけです。

これまで述べたことをまとめます。

おわりに


なんでも OK ですが、説明したとおり、市場はマーチンゲールではありません。最終的に、お金を儲けようとすること以外に外為取引の核心は何でしょうか?何が実トレーディングのために行う一連の理論的観測を立ち上げるのでしょうか?重要なことは、チャンスパスを用いたわれわれの例にあるように、なんらかの儲けをするのに理論的に不可能な場合でも、自分が都合のいいようにねじまげる方法はもっとある、または『収益性ある』(少なくとも一目見ただけで)戦略を提供することで高みの見物をする者がいる、ということです。同じ戦略が毎時間作られる『聖杯』や投資家を誘惑するのに使用されることに不思議はありません。ですが、マーチンゲール/スパイク理論を心に留めて多くの幻想から逃れることはできます。

ここで本稿に基づきいくつか合理的なトレーディングルールを作ります。自分のシステムを履歴ででっちあげられたものにしたり、巨大なドローダウンに苦しんだり、潜在的投資家の不信感を募らせたくなければ、以下のルールに従うことです。

  • ストップを設定する(ストップロス/テイクプロフィット)
  • ストップロスをテイクプロフィットとタイムフレームに比例するものにする
  • トレーディングのタイムフレームに不釣り合いなポジションにオーバーステイしない。-取引開始から経過した時間で『カットする』、または別の方法で。この場合には数多くの手法があります。
  • 取り戻そうとしてロット金額を増やさない。-カジノでオールオアナシングでプレーしている人に同調しない(ジェームズ・ボンドにも!)

上記ルールは厳格なものではありません。戦略のほとんどは、たとえば、ポジションがストップロスやテイクプロフィットでキャンセルすることはまったくできない、というような方法で構築されています。ここで、たとえば、平均的な収益性を得るか損失を生むトレードを行う、またはロット額をトレードの可能性あるリスクレベルに連動することができる、と言わねばなりません。ただし、上記ルールは、特にExpert Advisor や戦略一般の明確さと透明さにとっては一種の理想とみなすべきです。トレーダー、とりわけ初心者はこの理想を目標とすべきです。

興味ある読者の方のために最後に付け加えたいのは、ダニエル・ベルヌーイと18世紀にさかのぼる問題です。それはいわゆるサンクトペテルブルクのパラドックスです。X が次のようなゲームをすると仮定します。:資本金が1ルーブルである。バランスの取れたコインが投げられる。表が出たらゲームは終わり、X はお金を取り上げられる。裏なら、お金は2倍になる、という具合です。:コインを投げ、表はゲームを終わらせお金を取られる、裏ならお金は2倍になり再びコインを投げる。質問:このゲームをするのに X はいくら支払わなければならないのでしょうか?見てのとおり、X は常にこのゲームでは勝ちますが、コインの出方によって金額は異なります。言い換えると、『みなさん』はこの気前のよい空前のアトラクションに参加するとすればいくら支払いますか?この設問にご興味がおありなら、その解答はコメントでお寄せください。
 

MetaQuotes Ltdによってロシア語から翻訳されました。
元の記事: https://www.mql5.com/ru/articles/1446

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